失敗学 2019 6 16

書名 新・失敗の本質 「失われた30年」の教訓
著者 山岡 鉄秀  育鵬社

 平成の30年間は、日本縮小の歴史でした。
若い人は信じられないでしょうが、
今から30年前は、「世界経済は、日本が支配していた」と言ってよいでしょう。
 この本には、平成元年当時における世界の時価総額ランキングがあります。
ベスト10には、日本企業が7社も入っています。
アメリカは2社で、英国が1社です。
まるで、日本国内のランキングと勘違いしそうです。
(30年後の今は、この本にあるベスト21以内に、日本企業は1社も入っていません)
 実は、正確に言うと、
「縮小の30年間」ではなく、「現状維持の30年間」でした。
 この30年間で、世界各国のGDPは、
先進国でも、2倍から3倍になったでしょう。
アメリカは、3倍を大きく超えます。
 一方、日本のGDPは、総じて現状維持に近かったと言えるでしょう。
だいたい1.5倍程度です。
このままではドイツに抜かれます。
 だから、世界の時価総額ランキングにおいて、
日本企業が次々とランキングから脱落していったのは当然でしょう。
 実は、最近、訪日外国人が激増するのは、理由があります。
今から30年前は、東京は、世界で物価が高い都市と言われましたが、
30年間もデフレを続けた結果、世界で最も物価が安い都市になりました。
 東京で、10ドルも出せば、美味しいものが食べられます。
これは、先進国の首都では、あり得ない安さです。
牛丼は、5ドルも出せば、お腹がいっぱいになります。
 この物価水準は、世界の主要都市から見れば、激安です。
だから、外国人から見れば、激安なのに美味しいということになります。
 アメリカから帰ってきた人がネットに書き込んでいましたが、
ニューヨークでは、ランチで、美味しいものを食べたいとなると、
20ドルどころか、30ドルにもなると書いている人がいました。
 日本の積年の問題は、少子化とデフレです。
そして、さらに問題なのは、
こうした問題を認識しながら、何年も経過してしまうことです。
「少子化が問題だ。デフレが問題だ」と言い続けて、10年も20年も経ってしまいました。
問題点を認識はするが、それを放置するのが、問題でしょう。

爆速イノベーション 2018 10 28

書名 二〇二五年、日中企業格差
著者 近藤 大介  PHP新書

 早速、引用から始めましょう。
以下、引用です。
「鴻海に買われたシャープは、なぜV字回復を果たしたのか」
 シャープを完全復活させた台湾人の戴正呉社長は、
「会議で決まったのは、次の会議日程だけ」と揶揄された、
スローな社風を改善し、即断即決体制を整えたのだ。
 無責任体質とスピードの遅さは、
著者が北京で日中ビジネスに携わっていた時代に痛感していた、
日本企業の「二大弱点」と言えた。
 日中間の商談の場で、
日本側は、よく「○○のことは、わが社で了承されました」と発言する。
 すると、すぐに中国側から、
「それは、社長が決めたということですね?」と突っ込みが入る。
(日本側)「いえ、経営会議で了承されたのです」
(中国側)「社長が決めたのでしょう?」
(日本側)「ですから、会議で了承されたのです」
この堂々巡りである。
 両方の通訳をする著者は、感情を入れず、
逐語訳を心掛けているが、内心は中国側に同情したい気持ちだった。
(引用、以上)
 このようなことは、アメリカも言っています。
アメリカも、似たような不満を持っています。
 日本企業の場合は、「社長」はいなくて、
「集団指導体制」ようなものなので、仕方ないと思います。
 さて、経済評論家によると、
世界において、株式の時価総額ランキングは、
この20年間で、いや、この10年間で、
すっかり入れ替わったというのです。
 しかし、日本においては、
株式の時価総額ランキングは、
この20年間で、いや、この10年間で、
ほとんど変わっていないという。
 世界は、この10年間で激変しました。
しかし、日本は、変わっていません。
 伝統を守ることは重要なことですが、
それは、京都や鎌倉ような古都を守ることであり、
社風や企業文化が「古都」になってはだめです。
 今や、アメリカ企業も中国企業も、
爆速イノベーションで突進しています。
 今、世界は、こうなっています。
あなたの前に道はなく、あなたの後に道はできる。
 経営学の本を読んでいては間に合わない時代です。
あなたが経営学の対象となる存在になる必要があるのです。






















































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